Adobe FireflyでBGMを生成する方法|設定キーワード・ライセンス・フリー音源との違い

Adobe Fireflyでは、画像や動画だけでなく、動画などに使用するBGMもAIで生成できるようになりました。Fireflyの「音楽を生成(Generate Music)」では、曲の雰囲気やジャンル、テンポなどを指定してオリジナルのインストゥルメンタル音楽を生成できます。
さらに、制作した動画をFireflyに読み込ませ、映像の内容を解析させて、その動画に合ったBGMを提案・生成させることもできます。

この記事では、Adobe Fireflyを使ったBGM生成の手順と、設定時に使用するキーワードの意味、ライセンス、そして従来のフリー音源を使う場合との違いについて解説します。
※記事の内容は2026年9月時点のAdobe Fireflyの仕様をもとにしています。

Fireflyの「音楽を生成」とは

Adobe Fireflyの「音楽を生成」は、Firefly Music Modelを利用してオリジナルの音楽を生成する機能です。2026年8月に正式提供が開始され、Firefly上でBGMの生成ができるようになりました。

現在は主に、
・テキストからBGMを生成する
・動画を解析してBGMを生成する
という2つの方法があります。

生成する音楽はボーカル曲ではなく、映像、ポッドキャスト、ゲーム、プレゼンテーションなどで使用するインストゥルメンタルのBGMが中心です。Adobeは生成された楽曲について、商用利用可能なロイヤリティフリー音楽として提供しています。

FireflyでBGMを生成する手順

Fireflyを開き、画面左側にある 「音声」→「音楽を生成」 を選択します。
ここから音楽の条件を設定していきます。

音楽の方向性を設定する

Fireflyでは、一般的な文章を長く入力するというより、

  • 雰囲気
  • スタイル
  • 目的

という3種類のタグを組み合わせて音楽の方向性を指定します。

さらに、

  • エネルギー
  • empo
  • 時間Duration

を設定します。

BGM生成で使用するキーワード

Fireflyの「音楽を生成」では、BGMの方向性を「雰囲気」「スタイル」「目的」などのキーワードで指定します。
画面に表示されている候補をクリックして選択できるほか、自分で英語のキーワードを入力して追加することもできます。

ここでは、Fireflyの画面に表示されるキーワードと、BGM制作で使いやすいキーワードを日本語の意味と合わせて紹介します。

雰囲気

「雰囲気」は、曲全体から受ける印象や感情を指定する項目です。Fireflyの画面には、次のようなキーワードが表示されます。

キーワード日本語での意味
upbeat明るく軽快な
calm穏やかな、落ち着いた
playful楽しい、遊び心のある
intense強烈な、緊張感のある
dramatic劇的な、ドラマチックな
mysterious神秘的な、謎めいた
warm温かみのある
funkyファンキーな、ノリのよい

このほか、映像用BGMでは次のようなキーワードも使いやすいでしょう。

キーワード日本語での意味
inspiring前向きな、意欲を高める
uplifting気分を高める、爽やかな
confident自信のある、堂々とした
sophisticated洗練された
elegant上品な、優雅な
futuristic未来的な
energeticエネルギッシュな
powerful力強い
gentle優しい、柔らかな
peaceful平穏な、静かな
dreamy夢のような、幻想的な
emotional感情的な、心を動かす
serious真面目な、重厚な
tense緊張感のある
hopeful希望を感じる
nostalgic懐かしい、郷愁のある
luxurious高級感のある
dark暗い、不穏な
happy明るい、幸福感のある
sad悲しい、哀愁のある
romanticロマンチックな
chillリラックスした

企業紹介や製品紹介では「inspiring」「confident」「sophisticated」、テクノロジー系の映像では「futuristic」、医療や教育など落ち着いた映像では「calm」「gentle」「warm」などから試すと方向性を決めやすくなります。

目的

「目的」は、そのBGMをどのような動画やコンテンツで使用するのかを指定する項目です。Fireflyの画面には、次のようなキーワードが表示されます。

キーワード日本語での意味
vlogVlog、日常動画
podcastポッドキャスト
meditation瞑想
commercialCM、広告
trailer予告編、トレーラー
wedding結婚式
workoutトレーニング、運動
brandブランド映像
tutorial解説、チュートリアル

このほか、用途に応じて次のようなキーワードも入力候補として考えられます。

キーワード日本語での意味
corporate企業紹介
presentationプレゼンテーション
product製品紹介
technologyテクノロジー関連
advertising広告
documentaryドキュメンタリー
education教育
training研修
social mediaSNS動画
gameゲーム
short film短編映像
background musicBGM
introオープニング
endingエンディング

企業や商品のPR映像であれば「commercial」や「brand」、解説映像であれば「tutorial」、動画コンテンツであれば「vlog」など、映像の用途に近いものを指定します。

スタイル

「スタイル」は、音楽のジャンルや使用する楽器など、曲そのものの音楽的な方向性を指定します。

キーワード日本語での意味
electronicエレクトロニック
ambientアンビエント
cinematicシネマティック
orchestralオーケストラ
classicalクラシック
popポップ
rockロック
jazzジャズ
hip hopヒップホップ
lo-fiローファイ
acousticアコースティック
pianoピアノ中心
synthシンセサイザー中心
minimalミニマル
funkファンク
danceダンス系
technoテクノ
houseハウス
folkフォーク
percussionパーカッション中心

例えば未来的な製品CGであれば「electronic」「synth」「minimal」、落ち着いた技術解説であれば「ambient」、ドラマチックな映像であれば「cinematic」「orchestral」などが使いやすいでしょう。

キーワードは組み合わせて使用する

Fireflyでは、1つのキーワードだけでBGMを決めるのではなく、「雰囲気」「スタイル」「目的」を組み合わせて音楽の方向性を指定します。
例えば工業製品の紹介映像であれば、

雰囲気:sophisticated / futuristic
スタイル:electronic / minimal
目的:commercial / brand

企業紹介映像であれば、

雰囲気:inspiring / confident / warm
スタイル:cinematic / electronic
目的:brand / commercial

医療やヘルスケアの映像であれば、

雰囲気:calm / gentle / hopeful
スタイル:ambient / piano / minimal
目的:tutorial / presentation

といったところから試すことができます。
キーワードは多ければよいというものではありません。条件を増やしすぎると音楽の方向性が曖昧になることもあります。まずは「どのような雰囲気にしたいのか」を決め、次に「どのような音楽スタイルにするのか」、最後に「何に使用するBGMなのか」を指定すると、狙った方向へ調整しやすくなります。

エネルギー・テンポ・時間を設定する

「雰囲気」「スタイル」「目的」で音楽の方向性を決めたら、次に「エネルギー」「テンポ」「時間」を設定します。これらは曲のジャンルそのものを変えるというより、曲の勢いや速度、長さを調整するための設定です。

エネルギー

「エネルギー」は、曲全体の勢いや強さを指定します。

設定内容
低(Low)柔らかく穏やかな曲
中(Medium)安定したリズムでバランスの取れた曲
高(High)速く、活気のある曲

例えば、ナレーションを中心とした企業紹介や技術解説では「低」または「中」、テンポのある広告やプロモーション映像では「中」または「高」から試すと調整しやすいでしょう。
ここで注意したいのは、「エネルギー」と「テンポ」は別の設定だということです。テンポが遅くても力強い曲はありますし、テンポが速くても軽い印象の曲はあります。

テンポ

「テンポ」は、曲の速度やペースを指定します。

設定内容
低速(Slow)ゆっくりとした落ち着いたペース
中程度(Medium)安定したバランスのよいペース
高速(Fast)素早くエネルギッシュなペース

映像のカットが速いからといって、必ずしもBGMも高速にする必要はありません。
例えば製品紹介や技術解説では、映像の動きが速くてもBGMを少し抑えることで、映像やナレーションを見せやすくなることがあります。逆に、短い広告やSNS動画などでは、テンポを上げることで映像全体に勢いを出すことができます。

時間

「時間(Duration)」では、生成するBGMの長さを設定します。Fireflyでは、5秒から5分までの長さを指定できます。

例えば、

  • 15秒のSNS広告
  • 30秒のCM
  • 1分の製品紹介
  • 数分程度のプレゼンテーション動画

など、映像の長さに合わせて最初からBGMを生成できます。
従来の音源では、3分程度ある曲を30秒の映像に合わせて編集するといった作業が必要でしたが、Fireflyでは最初から必要な長さで生成できる点が大きな違いです。

BGMを生成する

すべての設定が終わったら「生成」をクリックします。
生成ボタンの近くには、今回の生成で使用する生成クレジット数が表示されるので、実行前に確認できます。1回の生成で4種類のBGMが生成されます。同じ設定から生成しても、それぞれ曲調や展開が異なるため、4曲を試聴して映像に合ったものを選択します。
気に入ったものがなければ、

  • 雰囲気を変更する
  • スタイルを変更する
  • エネルギーを変更する
  • テンポを変更する

など、条件を少しずつ変えて再生成します。

すべての条件を一度に変更してしまうと、何が結果に影響したのか分かりにくくなるため、1つずつ変更して比較する方が調整しやすいでしょう。
生成したBGMはWAV形式でダウンロードできます。

WAVで保存しておけば、Premiere ProやAfter Effectsなどへ読み込み、通常のBGMと同じように編集できます。

動画を読み込ませてBGMを生成する

Fireflyでは、キーワードを自分で設定するだけでなく、制作した動画を読み込ませてBGMを生成することもできます。
「動画をアップロード」から動画を読み込ませると、Fireflyが映像を解析し、その内容に合わせて、

  • 雰囲気
  • スタイル
  • 目的
  • エネルギー
  • テンポ

などを提案してくれます。提案された内容はそのまま使用することもできますし、必要に応じてタグを追加・削除して調整することもできます。

つまり、

動画を読み込む

Fireflyが映像を解析

BGMの方向性を提案

必要に応じて設定を調整

BGMを生成

という流れで制作できます。動画をアップロードした場合、BGMの時間は初期状態で動画の長さに合わせて設定されます。生成後は4種類のBGMを動画と一緒にプレビューできるため、実際の映像との相性を確認しながら選択できます。

映像制作者にとっては、こちらの方法がFireflyのBGM生成の大きな特徴だと思います。
従来は完成した映像を見ながら音源サイトで曲を探していましたが、Fireflyでは「映像そのもの」をBGM生成の条件として使用できます。

Fireflyで生成したBGMのライセンス

仕事でBGMを使用する場合、音質や曲調だけでなく、ライセンスの確認も重要です。
Adobeは、Fireflyの「音楽を生成」で作成した音楽について、ロイヤリティフリーで商用利用可能と案内しています。個人のSNS動画だけでなく、広告などの商用プロジェクトにも使用できます。YouTubeやTikTokなど、収益化しているコンテンツでの使用も可能です。また、Adobeは生成された音楽について所有権を主張しないとしています。
AIで生成された音楽には、AI生成コンテンツであることを示すContent Credentialsも適用されます。

ロイヤリティフリー=著作権フリーではない

ここは少し注意が必要です。「ロイヤリティフリー」という言葉は、著作権が存在しないという意味ではありません。
一般的には、決められた利用条件の範囲で使用する限り、利用するたびに追加の使用料を支払う必要がないという意味です。Fireflyの場合も、「商用利用可能」「ロイヤリティフリー」というAdobeの利用条件に基づいて使用することになります。また、Adobeの生成AIに関する利用条件では、生成された出力が必ずしも一意であるとは限らず、他のユーザーが同じ、または似た出力を生成する可能性があることも明記されています。

そのため、 「AIで生成したので世界に一つだけの曲になる」 と考えるのは適切ではありません。

生成物が知的財産権によって保護されるかどうかについても、Adobeは保証していません。「商用利用できること」と「独占的な著作権を取得できること」は別の話として考えておく必要があります。

従来のフリー音源とは何が違うのか

これまで動画制作でBGMを用意する場合、フリー音源サイトやストックミュージックサービスなどから曲を探す方法が一般的でした。Fireflyを使用すると、この作業の考え方が大きく変わります。

従来は、 映像に合う曲を探す という作業でした。

Fireflyでは、 映像に合う条件を指定して曲を作る という作業になります。

フリー音源の場合

フリー音源を使用する場合は、音源サイトで、

  • 明るい
  • 企業向け
  • テクノロジー
  • シネマティック
  • アンビエント

などのカテゴリーやキーワードから曲を検索します。その中から何曲も試聴し、映像に合うものを探していきます。
曲が決まった後も、

  • 曲の長さを映像に合わせる
  • イントロを短くする
  • 盛り上がる位置を調整する
  • フェードアウトを作る

といった編集が必要になる場合があります。また、「フリー音源」という名称であっても、必ずしも自由に何でも使用できるわけではありません。
配布サイトや楽曲によって、

  • 商用利用の可否
  • クレジット表記の有無
  • 改変の可否
  • 利用できる媒体
  • 再配布の禁止

などの条件が異なるため、それぞれの利用規約を確認する必要があります。

Fireflyの場合

Fireflyでは、完成している曲を探すのではなく、

  • 雰囲気
  • スタイル
  • 目的
  • エネルギー
  • テンポ
  • 時間

を指定して、その条件に合ったBGMを生成します。さらに動画を読み込ませれば、Fireflyが映像を解析してBGMの方向性を提案してくれます。長さについても、必要な動画尺に合わせて生成できます。
そのため、従来のように「3分の曲から30秒だけ切り出す」といった作業を減らすことができます。

フリー音源とFireflyを比較

項目フリー音源・ストック音源Firefly
BGMの用意既存曲から探す条件を指定して生成する
映像との相性映像に近い曲を探す動画を解析して提案可能
曲の長さ既存曲を編集することが多い5秒~5分で指定可能
曲調の変更別の曲を探す条件を変更して再生成
テンポ完成曲に依存Slow / Medium / Fastで指定
エネルギー完成曲に依存Low / Medium / Highで指定
他作品との重複同じ曲が使用されることがある毎回生成されるが、一意性は保証されない
ライセンスサイト・楽曲ごとに異なるAdobeが商用利用可能・ロイヤリティフリーと明示
作業の中心検索・試聴条件設定・生成・比較

Fireflyにすべて置き換える必要はない

FireflyでBGMを生成できるようになったからといって、従来のフリー音源やストックミュージックが不要になるわけではありません。既存の音源には、作曲家によって構成や演奏、音作りまで作り込まれた楽曲が多数あります。完成した曲を聞いて、「この曲を使いたい」 と思える音源が見つかった場合は、従来のストックミュージックの方が早いこともあります。

一方、

  • 15秒や30秒など短い映像
  • 製品紹介
  • 企業PV
  • モーショングラフィックス
  • CG映像
  • SNS広告
  • 仮編集用のBGM

などでは、必要な長さと方向性を指定してその場で生成できるFireflyは非常に使いやすいと思います。
特に、映像は完成しているのにBGM探しだけで何十分、何時間も費やしてしまうような場合には、大きな時間短縮になる可能性があります。

BGMを「探す」から「作る」へ

Fireflyの「音楽を生成」で重要なのは、AIが作曲できることそのものよりも、映像制作におけるBGMの選び方が変わることだと思います。

従来は、

映像を作る

映像に合うBGMを探す

という流れでした。

Fireflyでは、

映像を作る

必要なBGMの条件を指定する

映像に合わせたBGMを生成する

という流れにできます。さらに動画をFireflyに読み込ませれば、

映像を作る

Fireflyに映像を解析させる

BGMの方向性を提案してもらう

必要な部分だけ調整して生成する

という使い方もできます。
BGMを大量の音源から「探す」のではなく、必要な条件から「作る」。この違いが、FireflyのBGM生成を映像制作で使う一番大きなメリットではないでしょうか。

まとめ

Adobe Fireflyの「音楽を生成」を使うと、専門的な作曲知識がなくても、映像用のインストゥルメンタルBGMを生成できます。
「雰囲気」「スタイル」「目的」に加えて、「エネルギー」「テンポ」「時間」を設定することで、映像の用途に合わせて曲の方向性を調整できます。さらに完成した動画をアップロードすれば、Fireflyが映像を解析し、BGMの方向性を提案してくれます。
生成した音楽はWAV形式で書き出すことができ、Adobeはロイヤリティフリーで商用利用可能と案内しています。従来のフリー音源やストックミュージックには、完成度の高い曲をそのまま選べるというメリットがあります。
一方Fireflyには、「映像に合う曲を探す」のではなく、「映像に合う曲を生成する」という、これまでとは異なる使い方があります。

特に短尺映像や企業・製品紹介、CG、モーショングラフィックスなど、BGM選定にあまり時間をかけたくない制作では、実用的な選択肢になりそうです。

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